ChatGPT APIを使って旅行提案アプリを開発してみた
ChatGPTをはじめとする生成AIは既に広く一般に認知され、さまざまな場面で利用されています。実際、2023年6月時点でChatGPTの認知率は68.8%、利用率は15.5%にまで伸びています(日本のChatGPT利用動向(2023年6月時点), 野村総合研究所)。
さらに、2023年3月2日にはChatGPTのAPIがリリースされ、さまざまなアプリケーションやサービスからChatGPTを利用できるようになりました。私たちは、ただChatGPTと”会話”するだけでなく、ChatGPTを自作のサービスに取り入れることもできるようになったのです。
「この最新の技術を使って何か新しいサービスを作ってみたい!」と異なる部署から多様な得意分野を持つ4人の若手社員が集まってサービス開発をしてみた体験談をご紹介したいと思います。
(執筆:NRIデジタル 保坂太志)
多忙な社会人に最適な旅プランを提供するサービス「旅magica」
サービス発案の背景
私たちは、簡単な受け答えのみで旅行計画を提案してくれるサービス、「旅magica」を作成しました。
日々の業務が多忙でなかなか旅行計画を考える余裕がなく、下調べせずに行った結果、不完全燃焼に終わってしまったり、急に休みの日程が決まったのでせっかくだからどこかに行こうと思ったもののじっくり旅行計画を考える間も無く結局諦めてしまったり・・・。そんな経験のある社会人の方は多いのではないでしょうか。
私たちは、自身のそういった経験や同じような声を聞き、「パパッと思い通りの旅行プランを提案してほしい」というニーズを満たすサービスを発案しました。
サービスの概要
旅magicaは、簡単な旅の要件をチャット形式で入力すると、旅行内容の時間や場所、移動手段、利用駅をタイムライン形式で出力してくれるサービスです。
旅の要件には、
目的
期間
人数
の情報が含まれます。
特徴は、目的を入力する際、「行きたい場所」ベースなのか「やりたいこと」ベースなのかを選択できる点です。
これは、旅行計画を立てる際は、まずどこに行きたいかという場所起点で考える場合と、海で遊びたいや温泉でゆっくりしたいなどやりたいこと起点で考える場合の2パターンがあるのではないか、と話し合いの中で生まれた機能です。
その起点の違いにより提案の方法を変え、よりユーザの思い通りのプランを示すように工夫しました。
例えば、「やりたいこと」ベースで要件を入力した際は、そのやりたいことを満たす場所を4ヶ所ピックアップして提案し、ユーザはその中から1番良いものを選択できるといった機能を実装しています。
開発の流れ
私たちは、チーム立ち上げから1ヶ月弱という短期間でこのサービスを作りました。その流れを簡単に紹介します。
サービスの設計
まずは、旅行計画を立てる時にどのようなことを考慮しているかを全員で話し合い、サービスに取り入れる機能を決定しました。
次に、実際のサービスのUIイメージを考えました。
簡単で手軽に使えるアプリにするため、チャット形式のUIにすることに決め、そのイメージを実際に描いてみることで擦り合わせました。
早い段階で形にすることで、全員の意識が統一され、その後スムーズに開発を進めることができました。
またUIを考える際、既存の旅行プラン作成サービス(プランの提案はしない)を調査し、参考にしました。
例えば、タイムライン形式で旅行計画を出力するというのは、他サービスから得たアイデアです。
サービスの全体像が固まったのち、それを実現する実装方法を調査しました。サービスのアーキテクチャなど開発で利用する技術を検討し、決定しました。技術面の内容については、本記事の後編にてご紹介する予定です。
開発の進め方
サービスの全体像の作成と共有、技術調査と開発環境の構築をした後、開発に取り掛かりました。
進め方としては、週1回全員で打ち合わせをして、各自のタスクの進捗確認と新しいタスクの検討・割り振りを行いました。
各自が1つの機能の開発をタスクを担当し、1週間後の次の打ち合わせまでに完成させました。そして、打ち合わせでは各自の開発成果を合わせたアプリの現状を全員で見ながら改善点や意見を出し、タスクに落としていきました。
このように、アジャイル開発で言うところのイテレーションを回してアプリを拡充していくことで、スピード感を持った開発を行うことができました。
NRIグループ横断の開発体制
このサービスはNRIデジタル2名(高田直道、保坂太志)、野村総合研究所(NRI)の保険ソリューション事業本部1名(虎瀬なつみ)、金融ソリューション事業本部1名(久禮達也)という、所属の異なる横断メンバーによって開発されました。
各メンバーそれぞれがデータサイエンスやパブリッククラウド、フロントエンド開発、モダンな技術でのサービス開発など異なる分野を得意とし、それぞれが互いの強みを生かしお互いに学び合いながら進めました。
このような体制が可能になったのは、社内コミュニティ「Arumon」で同じような指向性を持つ仲間を集められたことが大きいと思います。
本記事の後編はArumon Noteで公開していますので、ぜひあわせてご覧ください。
最後に、Arumonでは毎年ハッカソンを企画しており、2023年度は11月3日~5日に開催予定です! 本記事を見て、何か開発してみたい、と思った方は、ぜひハッカソンへの参加を検討してみてください!