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【おすすめ本②】河本薫「最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか」

こんにちは!
NRIデジタルでデータサイエンティストをしている菅です。

今回ご紹介する本は、河本薫さんが書かれた「最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか」という本です。私は学生時代、河本さんの講義を受講し、今の職種を目指すきっかけとなりました。当時の講義で学んだエッセンスがこの本にも詰まっており、ここ数年で歩んだキャリアとも絡めて、3章構成でご紹介したいと思います!
(執筆:NRIデジタル 菅貴博)

1.データ分析は手段に過ぎない

この本では、

データ分析が会社にどれだけ貢献したかは「分析結果の意思決定への寄与×意思決定の重要性」で決まります

と記されています。私もこの考え方を大切にしており、データ分析は意思決定に繋がってこそ、威力を発揮すると考えています。
また、

手段を重視する価値観に偏ってしまうと、データ分析で会社に貢献する機会ではなく、高度な数学やITを試す機会に執着しがちになる

こちらは耳が痛い話です。私自身も数理最適化を専門としており、その手段で問題解決できないかという視点は常に持っています。
しかし、その手段ありきで話を進めようとして、お客さまから難色を示された苦い経験がありました。
とはいえ、既存アルゴリズムでは解決できないような課題に対し、革新的なアルゴリズムが必要で、それをお客さまに提示したところ経営層の意思決定に重要な示唆を与えられた事例もありました。このような場合に備え、新技術の研鑽は絶えず必要でしょう。


2.データ分析に必要な3つの力

データ分析者に必要な力について、

「見つける力」「解く力」「使わせる力」の三つがデータ分析者には不可欠

という記載がありました。私が経験したプロジェクトでは、課題は「見つかっており」、「解く」方法までは明らかで、現場に「使わせる」ことに労力を割いた経験があります。分析結果を活用してもらうため、現場担当者の方に緊張しながら何度も電話をかけたことは、今でも覚えています(笑)。
また、

一通り「見つける→解く→使わせる」を成し遂げた経験がある人であれば、分析組織のリーダーは務まる

とのことでした。我々のデータサイエンス部門のリーダー層も、各メンバーからアナリティクス案件の説明を頻繁に受けるため、どこがポイントか、何が難しいか、といった勘所を即座に理解する能力や経験が必要です。「見つける→解く→使わせる」というサイクルを何周も経験したリーダーの指摘やアドバイスは、説得力が高いです。


3.分析組織のリーダーに求められるもの

リーダーという話が出てきたため、最後は河本さん流のリーダー論をいくつかピックアップします。

メンバーがリーダーに対して過ちを指摘できるような組織風土を醸成することと、リーダーはその指摘を率直に受け入れるだけの謙虚さを持つことが大切

基本的には、経験豊富なリーダーの指摘は正しい確率が高く、経験が浅いメンバーは素直に従う方がプロジェクト全体の成功確率も高まると思います。
しかし、リーダーも人間であるため、時には判断を誤ることもあるはずです。部下からの指摘も素直に受け入れつつ、逆に上長に対しても真っ当な指摘ができるリーダーは、とてもかっこいいですね。そのような組織風土によって、強力なデータ分析組織が出来上がるのではないかと考えています。

リーダーの仕事は「メンバーの心をつかんで動かすことだ」

NRIデジタルでは、メンバーである私が挑戦したいテーマをリーダー陣に日頃から話していると、適した案件があれば「やってみないか?」と任せてくれる風土があります。そのおかげで、自分の仕事にモチベーション高く取り組めています。
このように、当人のモチベーションと能力を勘案しながら、多少リスクがあっても挑戦させるという判断力は、リーダーにとって重要だと感じました。これはデータサイエンス部門に限らず、NRIデジタルのバリューの1つである「リスクを超えて挑戦」にも繋がっていると感じています。


以上が、今回お話したかった本のご紹介です。データサイエンス的な技術要素を期待されていた方は、拍子抜けされたかもしれません。
しかし、「意思決定への寄与」、「見つける、解く、使わせる」等の観点がデータサイエンティストに必要という考え方は、私の経験的にも非常に共感しました。

データ分析に関わる方々のご参考になれば幸いです。それではまた!