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生成AI技術探索③:企画書自動作成ツールを作ってみた


はじめに

NRIデジタルでは、事業領域で今後必要とされそうな先端技術の知見を組織に蓄積・浸透させることを目的に、日々新技術の探索を行うCoE(Center of Exellence:組織横断の研究拠点)活動を実施しています。本記事ではCoE活動の中で、生成AIを活用し開発したデモアプリケーションの概要をご紹介します。生成AIのビジネス活用へのイメージを膨らませる一助になれば幸いです。

(執筆:NRIデジタル 藤井)

企画書自動作成ツールの紹介

概要


生成AI(ChatGPT)との自然言語でのやりとりを通して企画書を自動作成するツールを開発しました。
企画書のひな形となるpptxファイルに対し、事前に定義した記載事項を順次生成・記載していく形式のアプリケーションです。

社内でシステム開発案件の起案資料を作成する業務に対し、記載内容の考案・記載を支援します。

ブラウザで操作可能で、下記のようなUIで入力された企画内容・要望等を読取り、記載事項を生成していきます。

記載の対象とした項目


実際に社内の企画書を参考にして企画書の記載事項をリストアップし、その中でデモアプリで対応する範囲を選定しました。
技術検証の意味合いが強い活動のため、「文字列ベースの項目」と「視覚的情報が必要な項目」の二つの観点でいくつか項目をピックアップしています。

  • 文字列ベースの項目

    • 企画の概要

    • 解決したい課題

    • 課題に対する解決案

    • 企画の期待効果

    • 実施ステップ

  • 視覚的情報が必要な項目

    • 機能一覧

    • 機能概要図


操作イメージ


それでは、実際にアプリケーションを操作する手順をご説明します。

■ 企画の内容をインプットし、生成

入力フォームに企画の内容を入力して、「生成」ボタンを押下します。
これにより、こちらのサンプルではツールは「企画の概要」に相当する文章を生成します。

下記が生成結果の画像です。入力フォームの下に生成結果の画像が表示されます。
また、右側には実際に生成AIとどのようなやりとりをしているのかを表すチャットログが表示されます。
チャットログの三つ目のメッセージに記載した通りのフォーマットで生成されていることがわかります。

■ 要望を記入し、再生成

生成された内容を変えたい場合、「要望を記入してください」の入力フォームに要望を記載し、「要望を踏まえて再生成する」ボタンを押下します。

要望通りに文章が変わっていることがわかります。

■ 生成された内容を承認し、pptxファイルに反映

生成した文章を確認し、問題なければ「承認する」ボタンを押下します。
そうすると、生成した文章がpptxファイルに反映され、次の項目の生成フェーズに移ります。

ここで「現在のpptファイルをダウンロード」のリンクを押下すると、その時点のpptxファイルのひな形をダウンロードできます。
このサンプルでは、上記手順で生成した「企画の概要」の文章が反映されています。

項目毎の生成イメージ


「記載の対象とした項目」のセクションで、「文字列ベースの項目」と「視覚的情報が必要な項目」の二つの観点で項目をピックアップしたことを説明しました。
それぞれで生成されるもののイメージをご紹介します。

■ 文字列ベースの項目

ここまでのご説明で既にご紹介していますが、文字列ベースの項目は
マークダウン形式で「見出し」+「説明」の組み合わせというフォーマットにしています。
こちらは生成の際に特別な工夫は必要なく、生成された文章をそのまま表示しています。

■ 視覚的情報が必要な項目

こちらは具体的には機能一覧・機能概要図を指しており、それぞれ表形式・画像を生成する必要があります。
機能一覧はマークダウン記法で出力するよう設定しており、下記のようなアウトプットとなります。

機能概要図はhtml形式で出力してもらい、それをレンダリングして画像に変換する方式をとりました。
まだ実用レベルとは言えない出来ですが、htmlで出力→画像にレンダリングする方法を拡張すればある程度柔軟にさまざまな図を生成できるでしょう。

おわりに


今回は企画書の自動作成ツールを作成し、さまざまな形式の出力をpptxファイルに自動で反映できることがわかりました。
とはいえ図のクオリティにはまだまだ課題があり、生成時に使用するプロンプトに対して改善の余地が大いにあると思っています。
実際の企画書では多くのスライドで図が用いられている場合が多いため、実用レベルに昇華するためにはこの課題を解決する必要があると考えています。

また、企画書に限らずある程度フォーマット・記載項目の決まっている文書であれば、今回の方式を展開して自動作成ツールの開発はできそうです。

生成AIは使い方次第で幅広いアウトプットを期待できるので、今後もさまざまなアプリケーションへの展開を考えていきたいと思います。


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